恋愛の契約

　むかし、愛し合う恋人同士がいました。
　二人は、お互いがたまらなく愛しくて苦しい程でした。

　どんな時も、お互い協力して生きました。
　どんな状況でも、お互いは信頼し合い、頑張りました。
　いつも二人は一緒でした。

　お互いの顔や体や匂いが好きでした。
　お互いの話す言葉、考える内容、夢、希望も同じく好きでした。

　二人はこの世界に二人ぼっち。
　誰も二人の世界に入れませんでした。

　二人は、本当はそれぞれ一人で孤独。
　だからその愛は、本当は片想い。
　でも、刹那に感じる相手に感動し、
　それをたよりに二人はお互いを愛し続けました。

　二人は約束しました。
　『いつまで二人は一緒。どんなことになっても一緒にいようね。
　　引き離されても、きっともとの二人に戻ろうね』

　そして、その恋は終わりました。
　けれど、男は1人で片想いを止めないでいます。
　永遠を信じて。


何度も繰り返すが、僕はアホである。

僕が何か悪いから、嫌われたかもしれない。
僕がどうこう関係なしに、他に好きな人ができただけかもしれない。

結局、優子は、あいつじゃなかった。
京子じゃなかった。
永遠を求めもしない。


僕は、りか（23）に永遠めいたことをいうことがある。
〜になっても好き？
〜でも、好きでおってくれるか？
「そんなんわからんわ」
という。

そう彼女とは、先日も書いたが、恋愛契約を結んでいる。
僕は、人の約束に永遠を信じられない。
だから、期限を約束の中にいれて欲しい。
「好き」
といった時、それはいつのことなのか？
できれば条件も欲しい。

「好き」
と、その時、思う。
そして口にする。
僕の耳に入る。
僕は理解する。
そのときには、「好き」でないかも知れない。
ないかもしれないのでなくて、絶対同じ「好き」でない。

人間は、同時に共感することが難しいから、悲しい。

それでしかたがないやんか。
そんなん気にするほうがおかしいわ。
何言ってるかわからない。
ほんまにそんなこと気にしてるの。
わからないから面白いねん。
なんとなくはわかるやろ。
常識で考えたらいいねん。


う　る　さ　い

「好き」
感情的に言っているだけなのか？
そういうこともあるだろう。
けれど、それだけじゃない。

そこには論理的な理由もある。
「〜だから好き」
条件がある。
その条件は、主体、客体の双方にかかる。

おおまかに言えば、
23歳11ヶ月12日のさっきあなたとキスした私は、28歳4ヶ月11日のあなたが好きです。

そのときの変数は、
私は「23歳11ヶ月12日」「さっきキスした」
相手は「28歳4ヶ月11日」

これが変われば、「好き」という感情が生まれない可能性があるわけだ。


そんな曖昧な感情。
実はそれは相手の偶然の産物で、しかも自分の影響は未知数の感情のために、人は一喜一憂する。


私があなたを好きなのは、偶然。
たいした理由なんてない。
ましてその理由は、私が主で、あなたが主じゃない。
それが証拠に、あなたが変わらなくても、私が変われば私はあなたを好きでなくなる。
そして私は何もしなくても変わる。
変わりたくないとも思わない。
だから一喜一憂しないでね。
未来に期待されてもわからないよ。
まあ、責任持つ気なんかないから、どうでもいいけど。

こう言うべきだ。
けど誰にもそんな自覚ない。

僕は、そんな人たちと、恋をする勇気がない。
だって、僕は「好き」と言ったら、KEEPするように自分の感情や行動をコントロールできるもん。
ずっと好きでいようとするもん。
逆に、放っておくと、気持ちが変わることを知っている。
だから、そうならないようにするもん。


でも、それは僕の勝手な倫理感なので、りか（23）には、その旨を説明して、期限をつけることにした。
2年契約。
基本的に、すぐに更新はしない。
そうじゃないと更新することに期待してしまうから。
その間は、故意に絶対に相手を傷つけないこと。
また故意でなくても、その発生後に止めれるならば、止めること。
できる限り、好きで居続ける努力をすること。
もしそうでなくなっても、それは隠すこと。
会ってくれと要求に対して、感情的な理由で断わらないこと。
もし破れば・・・・

これは考えなかった。
甘いかな。
罰則規定がない契約なんて、まともな契約じゃないね。
けど、お互い約束は守ると信じている。
それぐらいは信じたい。

けど、これは僕は、恋愛じゃなく、ゲームだからできるのかも知れない。
本当の恋愛においてできるだろうか。

そういえば、僕は、妻ともゲームの果てに結婚したんだった。